今年も酷暑となりました。
暑さ対策、皆さまはどのように取り組んでおられますか。
夏の暑いときには冷たい食べ物が食べたくなる方もいるでしょう。しかし摂取しすぎは、内臓の冷えにつながるため注意が必要です。
さらに、暑い外気と冷房の効いた室内を行き来することで自律神経が乱れ、たとえ夏であっても、冷え性を引き起こしてしまうことがあります。暑い時期でも注意したいのが夏の冷え性です。
冷え性が続くと不眠症や食欲不振など、生活の質が低下するため、できるだけ早い冷え対策が大切です。
そこで今回は、夏の冷え性対策を紹介します。体温を上げる温活で、冷えに打ち勝つ身体を作りましょう。
~夏の冷え性の原因~
冷房の効きすぎ
薄着でクーラーが効いた場所で長時間過ごし、さらに冷たい飲み物などをとっていると、体の表面だけでなく、内臓まで冷えてしまいます。
また室内外の気温差が5℃以上になると、自律神経が乱れやすくなります。
人は自律神経の働きにより体温を一定に保っています。しかし寒暖差が大きいと自律神経の働きが過剰になり、冷えだけではなく肩こりや頭痛などを引き起こす「寒暖差疲労」が起きやすくなるのです。
冷たいものの摂り過ぎ
冷たいものを食べたり飲んだりすると胃腸が冷えてしまいます。冷蔵庫から出してすぐの食品は1~4℃、自販機の飲み物は1~6℃程度のため、場合によっては冬より冷えてしまうこともあります。
摂取した飲み物の温度で、胃の動きがどう変わるか調べた研究(脇坂ら、日本栄養・食糧学会誌、2011年)では、15℃の冷水で胃の動きが低下したとあります。これは15℃の冷水を体温と同じ37℃前後になるまで胃の中にとどめるために、胃の動きが低下したからだと解釈されています。
食生活の乱れ
食生活の乱れ食生活の乱れも、冷えの一因です。暑い夏には食欲が湧かず、夏野菜や果物、冷たい飲み物ばかりを好んで摂取している方もいるかもしれません。
冷たいものの摂取は熱中症対策として有効です。しかし、頻繁にまたは過剰に摂取すると、内臓機能を弱め、内臓の冷えにつながる恐れがあります。
内臓が冷えると、元の温度に戻すためにエネルギーを使います。すると、本来エネルギーが使われるべき血液循環が滞り、冷えを招く原因となるのです。
なお、身体が生み出すエネルギー量は、筋肉量と関係しているため、運動不足で筋力が少ない方ほど冷えの改善に時間がかかるといわれています。
~夏の冷え性対策~
温かい飲み物や食事、摂取内容に気をつけましょう
暑いときは冷たい飲み物や食べ物を摂りたいところですが、冷え性対策のためには常温、もしくは体温以上のものを摂取しましょう。水分補給のときに、意識的に温かいものは摂りにくいもの。そんなときは、食事のときに味噌汁やスープなどの汁物を摂るようにすると良いでしょう。栄養バランスの意識としては、栄養が偏りがちなインスタント食品などの食べ物を控え、ビタミンE、C、B1、パントテン酸、タンパク質などを積極的に摂りましょう。
トマトやキュウリなど、夏が旬の野菜は身体を冷やしますが、冬が旬の野菜は、身体を温める効果があります。具体的には、根菜といわれる人参やレンコン、ゴボウなどです。
また、生姜や唐辛子などの辛味成分は、交感神経を刺激しエネルギー代謝を高める効果があるので、体温の上昇に役立ちます。
発酵食品の納豆やキムチ、ヨーグルトも血流や代謝を促す効果があるため、積極的に取り入れましょう。特に酵素が多く含まれている発酵食品は、体温上昇の手助けをするといわれています。
冷房の温度を見直す
夏に長時間肌寒い部屋にいると本来の体温調節機能を乱すことにもなります。冷房の設定温度は28℃程度が目安です。
しかし、冷え性対策として温度を上げすぎてしまうと、今度は熱中症になるリスクが高まります。天候や状況に合わせて適切な温度設定をしましょう。
適度に運動して筋肉量を増やす
1日に発生する熱量の約6割は筋肉でつくられます。冷え症状は男性よりも女性に多く、20歳以上から年齢が上がるほど多くなります。
特に足の血流に大きな影響を与えているのが「第2の心臓」と呼ばれている、ふくらはぎの筋肉です。ふくらはぎの筋肉量低下は足の血流停滞に紐づき、足先の冷えを引きおこします。
湯船に浸かる
自律神経の副交感神経が優位になると血流がよくなります。体温よりも4℃程度温かい湯に浸かると快適さを感じて副交感神経のスイッチが入るので、湯温は38~40℃がベスト。10分以上を目安に温まりましょう。
ストレス発散とリラクゼーション
強いストレスにより自律神経の働きが乱れると体温調節がうまくいかなくなり、体が冷えやすくなります。そのため上手にストレスと付き合っていきながら、リラックスを図っていきましょう。リラックスすると副交感神経が優位となり血管が拡張し、体が冷える原因が一つ取り除かれます。オイルッサージや整体で体を整えることも効果的です。
血行促進効果のあるツボ
湧泉(ゆうせん)このツボは全身の血行を良くするため、冷えの改善や老廃物を排出するなどさまざまな作用があります。土踏まずのやや上の真ん中あたり、足の指を曲げたときにくぼむところにあるツボです。
労宮(ろうきゅう)手のひらの真ん中、くぼんだところが「労宮」。自律神経の働きを整え、体のだるさや冷えなどの症状を改善します。
三陰交(さんいんこう)足の内踝から指3本上がったところ。婦人科系の病症全般に有効で、血流を促す作用もあり、女性に多い貧血気味で眠れないタイプにもおすすめです。(妊娠中はNG)
参考資料 再春館製薬ホームページ、養命酒ホームページ、株式会社ZEN PLACE監修ページ